時には、がっつり

ふだんはおいしいものを少しずつ派だけど…

檸檬(梶井基次郎)1/2 Seek Deeply!

 

 

 「檸檬」1/2を要約すると、

  不吉な塊の影響によって心惹かれるものが以前とは異なって、みすぼらしくて美しいもの、しかも、贅沢なものとなった。ある日、私の一番好きな店である果物屋で足を止めたのだが、その家が美しいのは夜だった。

 となります。


 この小説、ここから人生の指針や生きる励ましや教訓などを読み取ろうとしても無意味、そんなタイプの作品だと考えたほうがよいと思います。そういう読み方をしていくと意味不明 に陥ることになるでしょう。この作品、もともとそのようなものを書こうというモチベーションは皆無といえます。もっとも、どんなことからも教訓を得ることができるといえば、それ まで否定しませんが…。
 ふつう、人生上の教訓や指針を得るためにモーツアルトを聴いているのではないでしょう。それではなんのため聴くの…?


 死に至る可能性の強い病を得、借金返済を迫られ、さらにそれと表裏するように、鉛そのもののようにずーんと重い気持ちから逃れられない、それまで好きだった、洗練され技巧が尽くされた音楽も詩も我慢がならなくってしまう。いたたまらなくて、放浪することとなる。そんな現実の私を忘れさせてくれるものは… と書かれている心理、境遇、行動、風景、イマジネーションを受け入れ、自分も「私」に付き合い、「私」を可能な限り追体験することに意味があります。モーツアルトを聴くように、じっくりと読み味わってみてください…最後に「檸檬爆弾」の爽快さを感じながら、「活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行」くことができたら、この小説を本当に読んだことになります。

 

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