時には、がっつり

ふだんはおいしいものを少しずつ派だけど…

九月二十日のころ(徒然草) もっと深くへ !

 

 

  秋の終わりのころ、しのび妻を訪問する高貴な人を描き、兼好は、この男女に心からの共感を感じている。

  しのび妻との逢瀬もシチュエーションに応じ「よき程」を心得、相手の、「わざとならぬ」薫物(たきもの)や名残を惜しむ姿に、兼好は感心する。優なる人とは、すべてこの日常朝夕の心遣いが教養となっている人。

 

 

 晩秋の月見をはじめ、ここで語られているすべてが、典型や殊更な作為〈=中心〉から距離をおいて、作為的な無作為ともいえるもの〈=周縁〉に価値を見出そうとする、中世的な美意識とも言えるでしょう。そして、これは現代の我々の意識や挙止動作に深いところで影響を与えていると考えてもいいと思います。

 

 

  

 簡潔な表現が強いイメージ喚起力を持っていて、「★佳人薄命」譚にもなっており、武者小路実篤は、この段を「一遍の詩であり、美しい短編小説とも言える」と評しています。

 中世の晩秋の夜更けを、もう一度兼好と共に散策してみませんか…。

   ★ 「佳人」とは、容姿の美しい女性のこと、または、品格や知性のある女性のこと。「薄命」とは、短命なこと、または、運命に恵まれないこと。

 

 

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